カウフマン氏考案!政治参加するための指南書 グローバル・パスポート(4ページ目)
上岡みおによる、グローバル・パスポートの翻訳(4ページ目)。
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
ダイレクト・デモクラシーとは
民主主義にとって、かかる政治案件について住民が意思表明できる合法的な住民投票制度(または一般投票制度)は、政治に民意を反映させるために欠かせないシステムです。
伝統的な代議制民主主義では、政党や候補者を選び、国会あるいは地方議会へと送り込むことしかできませんでした。
しかしながら、近年では、民意を反映させるために、新しい方向性や可能性を試そうとする国々が増えてきました。単なる選挙活動とは異なる取り組みです。
International IDEAが蓄積してきたダイレクト・デモクラシーのデータベースによると、1980年以降、世界の8割以上の国において、国政レベルの政治課題についての「住民投票」「一般投票」が、少なくとも一度は行われてきました。その多くが、住民発議によるものでした。
世界全体でみると、2017年の中盤までに、総計1,707件の「住民投票」「一般投票」が行われました。そのうち1,042件はヨーロッパ(スイスで実施された627件を含む)で、187件はアフリカで、185件はアジアで、176件はアメリカで、113件はオセアニアで実施されています。
近年の「住民投票」「一般投票」は、例えばイギリスのEU離脱(ブレグジットと称された国民投票)、コロンビアの紛争を終結させるための条約、トルコの大統領が提案した新憲法採択、スイスの原発問題など、重要な政治課題について実施されてきました。
いくつかの事例を上げてみるだけでも、「住民投票」「一般投票」それ自体が、広範かつ重要なテーマを問うものになっていることがわかります。
報道の自由とは何か。一般投票を発動させる公権力とは何か。「住民投票」「一般投票」の結果に拘束力を持たせるべきか、世論調査的なものにとどめるべきか。問題を解決しようとするとき、直接的な投票をとり行うことは、手段として望ましいといえるのか。
代議員を選出するための投票も、特定の事案について意思表明するための投票も、住民が担っていかねばならない、最も重要な社会的責務のひとつです。投票行動によって自国の未来が形成されるのですから、ハイレベルな情報と知識が不可欠となります。