カウフマン氏考案!政治参加するための指南書 グローバル・パスポート(5ページ目)
上岡みおによる、グローバル・パスポートの翻訳(5ページ目)。
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
ダイレクト・デモクラシーとは
以上の理由から、本書「ダイレクト・デモクラシーへのグローバルパスポート」は、今なお発展し続けているダイレクト・デモクラシーの概念と、直接的に政治参加していこうという市民精神:アクティブ・シチズンシップについて、深く理解できるように構成してあります。
今日の代議制民主主義の枠組みのなかで、ダイレクト・デモクラシーのシステムやプロセスをうまく機能させられるかどうかについて考えようとしているからです。
本書の読者には、各国の「住民発議権」「住民投票」「一般投票」の実施過程を対象とする研究者、ジャーナリスト、選挙管理員、憲法を起草しようとする人などをも含む、多岐にわたる人たちが想定されています。
本書で用いている「ダイレクト・デモクラシー」という言葉は、伝統的な集会型民主主義(ギリシャに関連づけられることが多い)との混乱を避けるために用いられています。
集会型民主主義は、自治会の会合といったレベルにおいては現在も有効ですが、投票に匿名性がないという点においては前時代的です。ダイレクト・デモクラシーの最重要事項のひとつは匿名投票であることだからです。
ダイレクト・デモクラシーは、伝統的な代議制民主主義にとって代われるものでも、とって代わるべきものでもありません。
ダイレクト・デモクラシーの目的は、代議制とは異なるデモクラシー制度を併用させることで、代議員を代議員たらしめようとするところにあります。
それは、責任あるアクティブ・シチズンシップと、代議員に課される説明責任と正当性、それぞれの良い部分を融合させることによって可能となるのです。