カウフマン氏考案!政治参加するための指南書 グローバル・パスポート(8ページ目)
上岡みおによる、グローバル・パスポートの翻訳(8ページ目)。
画像引用:Global Passport to Modern Direct Democracy | International IDEA
ダイレクト・デモクラシー制度との関わり方
■ ダイレクト・デモクラシー制度を利用する
自分の意見を政治に反映させようと思ったとき、どんな方法を用いればよいのかを考えてみましょう。
居住している地域で認められている方法でしょうか。
住民発議権を利用するべき事案でしょうか。
一般投票を実施することが政府(地方政府含む)に義務付けられている案件でしょうか。
管轄する機関が市町村なのか、県や州、それとも国なのか、あるいは国際的な機関であるのかも確認しましょう。
本書を活用して、制度としてのダイレクト・デモクラシー利用方法を理解していきましょう。
■ ダイレクト・デモクラシー制度を監視/取材する
住民発議による住民投票や、一般投票の立会人となった場合にも、ジャーナリストとして取材する場合にも、ダイレクト・デモクラシー制度が用いられることになった政治的文脈と、その法的意味を理解している必要があります。
見極めねばならないのは、かかる投票結果に拘束力があるのか、それとも世論調査を目的として行われているのか、という点です。
本書を活用していくと、ダイレクト・デモクラシーについての記事を書くときにも、監視するときにも、押さえておかねばならないポイントが明確になります。
■ ダイレクト・デモクラシー制度を導入する
ダイレクト・デモクラシー制度を導入しようとする人には、この制度の役割や効力について深く理解していることが求められます。
政策決定に住民が参加することの本質的意味や、制度としての実務的側面について説明しなければならない場合もあるでしょう。
本書を、ダイレクト・デモクラシー制度のガイドブックとしてご活用ください。
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上岡みおによる補足:
日本では、
・住民発議による住民投票
・議会で可決された法案の廃止、修正、調整、変更を求める一般投票
・ある法案を施行するために、住民の承認を得ることが、政府や自治体に法律で
義務付けられている場合の強制的一般投票
・政府や自治体が住民に対して行う任意の一般投票(プレビシット)
このすべてについて「国民投票」と表記されることが多いです。制度も性質も異なるものを「国民投票」という言葉で一括りにしてしまうと誰もが混乱してしまいます。
上述の訳文を例にとると、
「国民投票を利用するべき事案でしょうか。国民投票を実施することが政府(地方政府含む)に義務付けられている案件でしょうか。」
となってしまいます。これでは意味不明です。概念を区別するための「名前」が必要です。
本稿で上岡みおが採用している名前、すなわち「訳語」は下記の通りです。
・住民発議権:国県市町村の各政治階層において、住民の側から議題を提案すること
・住民投票:住民発議された議題についての投票
・一般投票:既存または新しく可決された法の是非を問う、または修正を求 める投票
これに則ると、8ページ目の訳文は以下の通りとなります。
「住民発議権を利用するべき事案でしょうか。一般投票を実施することが政府(地方政府含む)に義務付けられている案件でしょうか。」(上岡みお訳)
意味の異なる概念すべてを「国民投票」とくくるよりも、理解しやすくなるとは思いませんか?
※「一般投票」は、上岡みおが現時点においてベストと考える訳語ですが、
個人発案による非公式訳語であることを、あらかじめご了承ください。