住民発議による住民投票制度 民意をつぶせる仕組みとは
出典:CNN.co.jp : カリフォルニア州3分割案、11月の住民投票は見送り
カリフォルニア州では、およそ2週間後の2018年11月6日に、州を3つに分割する住民投票が行われる予定でした。
(住民発議を行った)ドレーパー氏は3分割を提案した理由について、学校制度や高い税金、インフラの劣化といった差し迫った課題に対応するため、それぞれの地域社会が市民のためにもっと合理的な判断を下せるようになると説明している。
提案によると、3州の人口はそれぞれおよそ1230万~1390万人。ロサンゼルスなど6郡はカリフォルニア州に、サンディエゴやオレンジなど12郡は南カリフォルニア州に、サンフランシスコ・ベイエリアやサクラメント北部など40郡は北カリフォルニア州に入る。
もし住民投票で承認されれば、知事が連邦議会に通知して、連邦議会で新しい3州の創設を承認するかどうかの採決を実施する。
アメリカでは、
・ 州政府の権限 > アメリカという連邦国家
・ 州政治への直接参加 = 州民発議による州民投票
という制度になっています。
州民が
「カリフォルニア州は大きすぎて不具合が生じている。三分割して、不具合を調整しよう!」という発議を行い、
⇒ それが州民投票によって可決され、
⇒ 議会の承認を得られれば、
アメリカには新しい州が2つ増えることになるはずでした。ところが、
(カリフォルニア州の)裁判所は、「この措置に関する住民投票を認めることによる潜在的損害の方が、提案を後の選挙へと先送りすることによる潜在的損害よりも大きい」と指摘、州務長官に対し、11月の住民投票の見送りを指示した。
というのです。これは、世界で最も優れた(=民意を反映できる)住民投票制度を
備えているスイスや台湾では有りえないことです。
カリフォルニア州を3分割する住民投票は見送られましたが、これもまた、
・権力を分散させるとはどういうことか
・住民が政治に直接参加するとはどういうことか
・住民が政治的提案を行うとはどういうことか
・民意をつぶせる仕組みとは何か
を考えるときの、現在進行形の見本といえるでしょう。
ちなみに、スイスや台湾の制度であれば、住民投票で可決されたことは、絶対に実現させなくてはなりません。
州議会 > 住民投票による可決法案
となっているアメリカの制度は、スイスや台湾に比べるとかなり「非民主的」です。
日本の制度は、そのアメリカよりもはるかに「非民主的」なものにとどまっています。