住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

直接民主主義を前進させるための国際会議 グローバル・フォーラム

ローバル・フォーラムとは

グローバル・フォーラムは、世界中から、学者、政治家、政府高官、ジャーナリスト、市民活動家らが集まって、直接民主主義を前進させるための情報交換や意見交換を行う国際会議です。

 

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昨年2018年のローマ大会では、世界100か国から500名が参加されたそうです。

 

ディスカッションのテーマ

上岡みお、ブルーノ・カウフマンさんの「無茶振り」により、このグローバル・フォーラムの本会議総会に、パネリストとして参加することになりました。 


ディカッションのテーマは

「How Do We Turn People Power into Direct Democracy in Asia and beyond?」

 

海外の識者からは、アジアは、世界でもっとも民主主義が遅れている地域として認識されています。「アフリカよりも遅れている」という表現は、アフリカの人に失礼と感じますが、そう言われています。

そのアジアの「ダイレクト・デモクラシー」に、どのようにピープルパワーを取り入れていくかがテーマです。

 

縄のダイレクト・デモクラシー

「ダイレクト・デモクラシー」は、民主主義のイデオロギー、精神、制度、すべてを包含する大きな言葉です。

 

住民投票は、世界中で認知されている、合法的な、ダイレクト・デモクラシーの制度です。

 

沖縄は、日本国内で唯一、県民投票が実施されたことがある県です。

パネルディスカッションでは、1997年名護市民投票 2019年沖縄県民投票 実施されなかった石垣市民投票 そして全国1788の地方議会議長あてに「陳情書」を提出した安里長従さんたちの取り組みを紹介する予定です。

陳情書の趣旨:
「辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」
8月上旬時点で、賛成採択30、反対採択60。

全国の地方議会議長&議員の、民主主義精神が問われる事態になっているわけですが、そのように認識している人は多くはありません。

 

辺野古問題を民主主義の観点から理解し、問題解決にむけた国民的議論がなされていかねばならないのですが、

そうはなっていないことが、日本の課題といえるのかもしれません。

民主主義の方法:国等への意見書の提出を求める陳情

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画像:琉球新報


沖縄県民投票によって辺野古新基地建設を中止することが「沖縄県の民意」であることがハッキリした2019年2月24日以降も、辺野古新基地建設は中断されることなく進んでいます。

憲法前文に主権在民と明記されている民主主義国として、あってはならないことが進行中。

「新しい提案」実行委員会による陳情

琉球新報の記事から抜粋引用

辺野古県民投票終了後、安里長従さん率いる「新しい提案 実行委員会」は、辺野古問題の公正な解決を求める陳情書を1788地方議会に提出。

2019年8月2日現在、陳情採択と意見書可決が30市町村議会となった一方、不採択・否決は61市町村議会に

安里氏は「(民意に)向き合わないということは民主主義としてどうなのか」と疑問を呈した。

 

 

主主義の方法:「国等への意見書の提出を求める陳情」


一般市民の立場から国に意見したいときの方法のひとつが「陳情」です。

「陳情」は、法律による明確な定めがないため、地方議会によって対応方法が異なりますが、

「国等の関係機関に意見書の提出を求める陳情」を地方議会に提出

「議員運営委員会」にて「採択」または「非採択」

「採択」された場合には、議員が議会に「意見書」を提出する

議会で可決された場合には、国に意見書として提出する

という対応をしている地方議会が多いようです。

国へ要請したいことがある場合、地方議会に陳情し、地方議会から意見書を提出してもらうことが可能。

だから、1788の地方議会すべてに陳情書を送る。記者会見も開く。

「新しい提案 実行委員会」の行動は、現行制度を利用して、民主主義を実践している、素晴らしいお手本です。



情と意見書 ~ 地方議会の対応

京都市会のHP には下記のように記されています。

請願・陳情は、市民などがその要望することを官公署などに申し出る行為であり、市会に対しても、法人や外国籍の方も含め,誰でも請願書・陳情書を提出することができます。

市会に提出する請願には、議員の紹介を必要とし、受理した請願は、本会議で所管の常任委員会に付託し、審査を行います。その結果、「採択すべきもの」又は「不採択とすべきもの」の結論が出たものは、本会議に諮り、市会の意思として、「採択」又は「不採択」の議決を行います。

また、採択された請願のうち執行機関(市長など)において措置することが適当と認めるものについては、当該執行機関に通知します。

陳情は、議員の紹介を必要とせず、受理した陳情は、所管の常任委員会において請願と同じように審査しますが、「採択」又は「不採択」の結論は出しません。

 

静岡県伊東市のHP には下記のように記されています。

陳情には請願ほど明確な法律上の規定がないため、各議会において取り扱いが異なる場合があります。

 

千葉市議会HPには下記のように記されています。

「国等への意見書の提出を求める陳情」として市議会に提出する場合、市議会議員の紹介は不要です。

 

取り扱いとしては、議長から各会派幹事長及び無所属議員へ受理した文書の写しを配付し、内容に賛同する会派が(あった場合)意見書案を議会運営委員会(議運)に提出・協議します。

 

そして、議運で過半数の賛成が得られた意見書案が本会議で審議され、可決された意見書は、国等へ送付します。


※国等への意見書の提出を求める陳情は、上記の請願や陳情とは異なり、提出いただいた内容そのものが、本会議や委員会で審査されるわけではありません。

 

大阪府八尾市のHPには、下記のように記されています。

国が行うべき施策や事業について、八尾市議会としての意思を意見としてまとめた文章で、関係省庁や国会等に提出することができます。
意見書は、市民の皆さんからの要請や議員の提案に基づき検討し、八尾市議会として調整ができたものを提出しています。

 

陳情については、所管の委員協議会にはかり、関係部局の意見を聴き、協議します。陳情は請願と違って採決はしていません。

 

静岡県伊東市のHP には下記のように記されています。

地方自治法第99条において、地方公共団体の公益にかかわる事柄に関して、議会の議決に基づき、議会としての意見や希望を意見書として内閣総理大臣、国会、関係行政庁に提出できることとされています。
 伊東市議会では、各定例会に会派単位で意見書案を提案し、議会運営委員会での協議により、議員発議で提案し、採択します。

 

愛知県岩倉市のHP には下記のように記されています。

請願や陳情の趣旨が妥当と認めた場合は、請願は議会の意思として、陳情は委員会の意思として採択します。

国等の関係機関に意見書の提出を求める内容の請願や陳情を採択した場合は、審査を行なった委員会の所属議員が提出者となり、願意に沿った意見書を議会に提出します。議会で可決された意見書は国等の関係機関に提出します。

 

「辺野古問題の公正な解決を求める陳情書」の対応状況
(2019年8月2日現在、画像は琉球新報から引用)

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沖縄県内に、「辺野古問題の公正な解決を求める陳情書」を否決する市町村があるということが驚きです。
沖縄県の八重瀬町と宮古島市。。。

グローバル・フォーラム ローマ大会で承認された マグナカルタ

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画像引用:Roma Capitale | Sito Istituzionale | Global Forum 2018 sulla democrazia diretta 

 

10年前、ブルーノ・カウフマンさんが共同代表をつとめるシンクタンクがスタートさせたグローバル・フォーラムは、直接民主主義を進化させ続けている世界会議です。

上記画像は、2018年10月に開催されたローマ大会の様子です。ホスト役となったローマ市のホームページに掲載されていたものです。

左の写真、右から2人目がブルーノ・カウフマンさん、右から3番目が、ローマ市長のヴィルジニア・ラッジ氏です。

世界では、民主主義が後退していると憂う声がある一方で、都市のレベルでは、民主主義が進化している事実があります。

そこで、グローバル・フォーラム ローマ大会では「民主的な都市のあり方」が話し合われました。


そこで出された意見は、100を超える都市や地域の代表者らによって承認され、「マグナカルタ~民主的な都市憲章」としてまとめられています。

その日本語訳がこちら↓です。


マグナカルタ 民主的な都市憲章

 

グローバル・フォーラム ローマ大会で話し合われたテーマ

~ 民主的な都市とは? ~

 

・民主的都市は、完成形のない民主主義を常に模索し続ける。

・民主的都市には、市民が自由に交流し話し合い、決定できる空間がある。

・民主的都市では、政治家も、職員も、ボランティアも、市民も、対等に参加できる。

・民主的都市では、政治家と市民が平等に政策決定に参加できる。

・民主的都市は、参加型民主主義を実現させるための社会基盤が用意されている。

・民主的都市では、政治参加するためのルールを市民自身が決めることができる。

・民主的都市は、市民が決めたルールを無効化しようとする政府から市民を守る。

・民主的都市は、若者に民主主義教育と訓練を施す。

・民主的都市では、建設的な社会運動と人的交流が生まれる。

・民主的都市では、市民は自分が住んでいる都市だけではなく、地域、国家、国際的なレベルでも民主主義を発展させようとする。

・民主的都市では、市民の政治参加手段に持続性がある。

・民主的都市は、提案・研究・討論・意思決定にいたるまで、市民の政治参加を奨励する。

・民主的都市は、市民が決定したことを実行するための財源が確保されており、その使われ方もガラス張りになっている

・民主的都市では、電子投票など、投票システムが簡素化・簡易化されている。

・民主的都市では、すべての住民が投票に参加できる。

・民主的都市は、選挙だけでは民主主義を完結できないことを知っている。

・民主的都市では、市民が法律、憲法、規制の草案作成に参加することを奨励し手助けする。

・民主的都市は、住民発議による住民投票制度や、住民が予算編成に参加できるようなシステムを作る。市民自らが法(規制)や憲法(憲章)を提案し制定できる権利を保証する。

・民主的都市は、誰もが審議に参加できるようなシステムを構築する。

・民主的都市では、安全なデジタル空間にて情報公開がなされている。

・民主的都市は、少数派の権利を保護し、人を性別、人種、年齢、地域によって差別しない。

・民主的都市には、情報源が多種多彩であり、正しく機能している。

・民主的都市では、納得がいく説明がなされることによって、例え自分の意見が通らなかったとしても怒りをため込むことがない。

 

CHダグラス 世界で初めてベーシックインカムの具体策を打ち出した偉人

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CHダグラス『社会信用論』

クリフォード・ヒューイ・ダグラス(1879-1952年)
ケンブリッジ大学に学んだエンジニア。マネーシステムの構造的欠陥を見抜き、それを是正する方法を提言していった。

主な著書は『エコノミック・デモクラシー』(1920)『社会信用論』(1924)『社会信用論(改訂版)』(1933)『信用の独占』(1931)『マネーの使途』(1935『一時的な調査』(1937)など。

『社会信用論(改訂版)』(1933)は、世界ではじめて、ベーシックインカム(ダグラスは国民配当という言葉を用いている)の具体策を打ち出した歴史的名著である。

1935年、カナダのアルバータ州で「社会信用党」が結成され、教育者として、そしてラジオの牧師として有名だったウィリアム・エイバーハートが党首となる。社会信用党は与党となり、ダグラスはエイバーハート知事の再建顧問に任命される。

ダグラスの考えと党の政策に不一致が生じたため、ダグラスが職をまっとうすることはなかったが、社会信用党は1993年に解散するまで存在し続けた。

近年、ベーシックインカムを求める声の高まりとともに、ダグラスの著作に対する再評価が進んでいる。

住民投票から未来を作る!スイスと日本 ブルーノ・カウフマンさん④

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2019年4月21日、沖縄県那覇市で開催した講演会

「住民投票から未来を作る!スイスと日本」質疑応答から

ウフマンさんへの質問

Q 
台湾にスイス並の国民投票制度が導入されたそうですが、その経緯について教えてください。

A
台湾では、国民発議による国民投票を行う権利が憲法に明記されていましたが、それを実行する法律が存在していませんでした。

私が初めて台湾を訪れた2003年に、国民投票に関する法律制定が始まりました。

直接民主主義の理念はあっても、実行する手段がなかったのです。

そのときに導入された法律は、とても制限が多くて使いにくいものでした。

大きな組織や団体でなければ、使いこなせない制度でした。

国民投票に持ち込むには、有権者の10%の法定署名が必要でした。

投票率が50%を超えない場合には無効とされました。

国民発議案に反対する人は、投票をボイコットすればよいことになります。

2018年、有権者の2%の署名を集めれば国民投票に持ち込めるよう、制度改正が行われました。

投票率は、25%を超えればよいことになりました。

その結果、2018年には37件の署名活動が立ち上がり、そのうち、法定署名数を集めることができた10件が国民投票に持ち込まれました。

今年も活発な署名活動が行われています。今年も10件から15件の国民投票が実施される見込みです。

台湾で問題なのは、選挙の投票日と国民投票の投票日が同じ日に設定されているところです。

国レベルでの国民投票制度は整いましたが、地方自治体レベルでの住民投票制度が導入されていないのも問題です。

選挙日と投票日をわけること、地方自治体レベルの住民投票制度も導入することが台湾の、これからの課題です。

住民投票は、もっと身近な、日常的なところに存在するものであるべきです。

手の届かないところにある理想ではなく、当たり前すぎて、退屈と思えるようなものになってほしいと思います。

住民投票から未来を作る!スイスと日本 ブルーノ・カウフマンさん③

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2019年4月21日、沖縄県那覇市で開催した講演会

「住民投票から未来を作る!スイスと日本」質疑応答から

ウフマンさんへの質問

Q 
スイスでは、住民投票の結果は尊重されますか? 投票結果に拘束力はありますか?
 
A 
はい、スイスの住民投票は、投票結果に100%拘束力があります。

 


Q
投票結果に拘束力のない日本では、日本政府は、沖縄県民投票を無視しています。どのようにすればよいでしょうか。

A
投票結果に拘束力がないというのは、とても大きな問題です。

それはまるで、投票結果に拘束力のない選挙のようなものです。バカバカしいことがわかりますよね?

今日はちょうど、選挙日でした。

「この人が当選しました。でも無効にします。」なんてありえない話ですよね。

「県民投票によって民意が示されたけれど、政府は、それを無視します。」というのもまた、ありえない話です。

だからこそ諦めてはなりません。

伝え続けてください。

そのためにも仲間を増やし、世界とつながっていってください。

持てる知識、経験、能力を活用して、住民投票制度を改善していってください。

世界を見渡してみると、民主主義を実践しているのが、県や市町村など地方自治体であるのは明らかです。

「グローバル・フォーラム」という直接民主主義について話し合う国際会議において、民主的な都市の国際的なネットワークを作ることが決まりました。

沖縄にも参加してもらいたいと思っています。

改革を成功させる秘訣は、政府と国民の間に対立を生むことではありません。

政府とは協力しあっていかねばなりません。

なぜなら、政府とは国民によって運営されるものだからです。