住民発議による住民投票 & 無条件ベーシックインカム

CHダグラス『社会信用論』翻訳者・上岡みおが世界の賢人に学んだことをつづるブログ

住民投票から未来を作る!スイスと日本 ブルーノ・カウフマンさん②

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2019年4月21日、沖縄県那覇市で開催した講演会

「住民投票から未来を作る!スイスと日本」質疑応答から

ウフマンさんへの質問

Q 

日本政府は秘密主義です。福島原発事故の実情を国民にも世界にも知らせません。
そのため、東京など福島米の消費地では死亡率が高くなっています。日本では、正しい情報を得ることも、意見を言うこともできません。

正しい情報を得たり、意見を言うためには(スイス並の)住民投票制度を導入しなくてはなりません。

そのためにはどうすればよいのでしょうか


A 

住民投票それ自体に、情報公開を進める力が備わっています。

街頭で署名を頼まれたら、何についての署名なのか尋ねますよね?
それについて住民が考えるようになり、情報を得ようとします。

スイスでは(既存法律と可決法案に対する)拒否権投票があるため、議員は、国民に拒否されないような法律を作ろうとします。

拒否権投票があると、情報を隠せなくなります。

スイスには4つの公用語があるため、誰もが理解できるように住民発議案の翻訳版が作られます。

実は先週、国民発議案の翻訳に不備があったとして、ある国民投票が中止となりました。

これはスイス史上初めてのことです。

言葉を正しく用いようとする政府の姿勢は素晴らしいと思います。

翻訳という作業によっても、情報公開は進みます。

もちろん、住民投票をすれば、100%情報公開が行われるわけでありません。

常に注意を払っていかねばなりません。

住民投票から未来を作る!スイスと日本 ブルーノ・カウフマンさん①

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2019年4月21日、沖縄県那覇市で開催した講演会

「住民投票から未来を作る!スイスと日本」質疑応答から

ウフマンさんへの質問

Q スイスの直接民主制度は素晴らしいが、なぜ、他の国は採用しないのでしょうか


A 権力者は、権力を分け与えないようにしようとするものだからです。

2つの例をご紹介しましょう。

第二次世界大戦中、スイスは参戦しませんでしたが、ヨーロッパ中が戦争中だったため、スイスの民主制度も廃止されてしまいました。

そして、政府は軍の配下に置かれました。

戦争が集結して、平和な世の中になっても、スイス政府は、直接民主制度を復活させようとはしませんでした。

スイス政府は、直接民主制度によって、スイスが共産主義国になってしまうと主張していました。

スイスに直接民主制度が復活することはないだろうと思われるほどでした。

住民発議制度や住民投票制度が復活したのは、戦争終結から4年後のことです。

(1949年に)国民発議制度の復活を問う国民投票が行われ、僅差で可決されました。


2つめの例は、女性の投票権です。私が生まれた1965年には、私の母は投票権を有していませんでした。

男性は、なかなか女性に投票権を与えようとしませんでした。

女性に投票権が与えられるまでに、3回もの国民投票が行われました。

権力者が権力を分かち合おうとしないからといって、それはあきらめる理由にはなりません。戦い続ける必要があります。

色々な経験をすることで、前へ踏み出すことができます。

多くの国で間接民主制度が導入されており、制度不備があるにしろ、多くの国に直接民主制度が導入されています。

日本にも直接民主制度が導入されているので、これを突破口として制度改正に取り組んでいくしかありません。

今ある制度を利用して、直接民主制度を前進させていくのです。

その好例はドイツです。

30年前、ドイツには、自治体レベルでの住民投票制度は存在していませんでした。

しかしながら、ドイツ人に許されていた制度を突破口として取り組んでいった結果、すべての州と自治体に、より良い住民投票制度が導入されていきました。

とはいえ、ドイツ人はまだ、国民投票への投票権を有していません。

市町村レベル、県のレベルで、より良い住民投票条例を作っていくことが必要です。

嫌いなもの、例えば基地への「反対」でまとまるのは簡単ですが、どうしていくかの「対策」でまとまるのは難しいものです。

直接民主制は、ただ反対するだけの道具ではありません。
賛成する、同意していく道具でもあります。

国民投票や住民投票を通して、あなたの意見をきいてもらうことができます。
その結果、そのコミュニティの一員になっていくのです。

自分が住んでいる地域に民主主義を浸透させることで、国全体をより民主的にしていくことができます。

日本に来て、皆さんが、民主主義を実践する準備があることを感じています。

日本の皆さんは、働き者で、そのうえ我慢強いのですから。

 

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岩手県議会、辺野古の工事を中止し、沖縄県と協議すべきとの意見書を可決

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岩手県 達増拓也知事

手県がすばらしい!

岩手県の達増拓也知事、素晴らしいですね~~~~~!

「朝鮮戦争の終結宣言が取り沙汰される平和に向けた流れの中で、野古に基地をつくる必要はない

と、おっしゃっています。
そして岩手県議会ではこのような意見書が可決されました。

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国都道府県知事の反応

沖縄タイムスが行った全国都道府県知事へのアンケートでは、投票結果を日米両政府は尊重すべきかとの問いに、「尊重すべきだ」と答えたのは岩手と静岡の2県にとどまったそうですが、以下のようなコメントも寄せられています。

◆鳥取県の平井伸治知事

県民の意思が投票で示されたことの意義は大きい。政府が責任ある解決策を提示した上で、沖縄県と十分協議しつつ結論を得るべき課題だ」

 

◆熊本県の蒲島郁夫知事

「投票総数の約7割が反対に投じたことは大変大きなことだ。結果を踏まえ、国会や国政選挙の場などを通じて国民的議論を十分深める必要がある

 

◆長野県の阿部守一知事

「全国の米軍専用施設面積の約7割が沖縄にあることや、沖縄の歴史を踏まえ、国民全体が沖縄の方々の思いも共有して考えなければいけない問題だ」

 

◆大阪府の松井一郎知事

「国の安全保障・外交は、埋め立てについても日本政府が判断すべきものだが、沖縄県には米軍基地が過度に集中している。その負担を全国で分かち合い、沖縄県の負担軽減を図るべきものだ。大阪府としては国から要請があった場合には市町村とも協議し対応していく」

 

 

www.okinawatimes.co.jp

 


沖縄県民投票が実施されたことによって、変化が起き始めていると感じます。

沖縄県石垣市 陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票

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画像引用:石垣市住民投票を求める会

 

沖縄県石垣市では2018年、「石垣市住民投票を求める会」が、 石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票を実施するために署名を集めました。

住民投票を実施するに必要な署名数は、有権者の50分の1です。

「石垣市住民投票を求める会」は、法定署名数776人の18倍、有権者3万8799人の37%にあたる1万4263筆の有効署名を集めました。

2019年2月1日、石垣市議会・臨時議会では、1人が退席し、賛成10人、反対10人の同数となったため、裁決は議長にゆだねられることになります。

そして平良秀之議長は、この住民投票条例案を否決としました。



スイスや台湾では、法定署名数を集めた住民発議案を、議会で審議することはありません。

住民発議による住民投票は、主権者が政治に直接参加する権利を行使する方法のひとつです。それは、何人たりとも侵害してはならない「権利」と考えられているからです。

政治に直接参加する権利は、基本的人権のひとつとして、世界人権宣言第21条の1に掲げられています。

世界人権宣言 第二十一条

1  すべて人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。

 

 

法定署名数を集めた住民投票を、実施するかどうかを、議会が判断するという制度そのものが、日本の民主主義の構造的欠陥といえるのではないでしょうか。

 

 

ishigaki-tohyo.com

辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問うた沖縄県民投票 Q&A

辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問うた沖縄県民投票 Q&A

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Q  直接請求権 (=住民発議 =イニシアチブ)

日本では、地方政治においては、住民の意思を政治に反映させられるように、直接請求権が認められています。直接請求権には、

(1)条例の制定や改廃を請求する権利 (住民発議、イニシアチブともいう)
(2)地方公共団体の事務の監査請求権
(3)地方議会の解散を請求する解散請求権
(4)地方公共団体の首長、議員、その他主な公務員の解職を請求する解職請求権(リコール)

があります。

2019年2月24日に実施された沖縄県民投票は、(1)に該当します。

(1)と(2)が成立する条件は有権者の50分の1の署名、(3)と(4)が成立するためには3分の1以上の署名が必要とされます。

国会がある特定の地方公共団体のみに適用する法律を制定する時は、当該地域の住民投票により、投票者の過半数の同意を得る必要があります。

 

Q  直接民主制と間接民主制

住民投票は直接民主制、選挙は間接民主制です。

広い領土と多くの人口を擁し、利害関係が複雑多様になっている近代国家では、直接民主制によってすべての物事を決めることは困難であることから、多くの国々は、選挙によって代表者を選ぶ間接民主制を採用しています。

しかしながら、間接民主制では、選挙で選ばれた代表者(=議員)が、すべての課題について、その代表者(=議員)に投票した人と同意見になることはありえません。

ある地域を二分するような大きな問題が持ち上がったときに、間接民主制の欠陥を補完し、民意を直接的に反映させられる制度として、住民が直接意思表示できる直接民主制度(主として住民投票)が用意されています。

 

 

Q  住民投票の投票結果の法的拘束力

(3)地方議会の解散を請求する解散請求権
(4)地方公共団体の首長、議員、その他主な公務員の解職を請求する解職請求権(リコール)
の投票結果については、法的拘束力があります。

その一方で、2019年2月24日に実施された沖縄県民投票のように、(1)条例の制定(や改廃)を請求する住民投票は、法律ではなく条例を根拠としているため、法的拘束力がありません。

 

Q 沖縄県民投票の投票結果はどうなる?

このたびの沖縄県民投票は、「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立て」に対して、「賛成」「反対」「どちらでもない」を選択するものでした。

沖縄県民投票条例では「賛成・反対のいずれか多い数が、投票資格者総数の4分の1に達したときは、県知事は投票結果を尊重しなければならない」と定めらましたが、沖縄県は2018年8月に「埋立て承認」を撤回しています。

したがって、埋立て工事を推進している国が、県民投票結果を今後どのように取り扱うのかが、問われることになります。

 

Q 埋立て承認撤回とは

沖縄県は、仲井真弘多前知事による埋め立て承認を、2018年8月31日に撤回しました。これは、同年8月8日に逝去された翁長雄志知事が、生前に指示したことに基づいて行われたものです。

撤回理由として、
(1)埋立て予定地に軟弱地盤が存在していることが明らかになった
(2)サンゴなどの環境対策が十分ではない
(3)県との話し合いが不十分なまま工事を進めている
ことなどが挙げられています。

参考資料:沖縄県、埋め立て承認撤回 普天間基地の辺野古移設 :日本経済新聞

 

 市町村事務に要する経費について

市町村の事務の執行に要する経費については、地方財政法第28条の規定に基づいて、全額沖縄県が負担し、市町村に交付します。
市町村が実施する投票に関する事務の主なものは「名簿の調製」「投票の実施」「開票の実施」に係る事務があります。

参考資料:沖縄県|2.24県民投票公式サイト|2019年2月24日は県民投票です。

 

Q  全国の住民投票の実施状況について

市町村レベルでは、日本全国で市町村の統廃合等に関連する住民投票の実施事例は多数ありますが、都道府県レベルでは、沖縄県が22年前の1996年9月に実施した「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」のみとなり、今回が2例目となります。


参考資料:沖縄県|2.24県民投票公式サイト|2019年2月24日は県民投票です。

 

 


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