辺野古新基地建設問題 知事選挙で民意は示されたのか?
画像引用元:【公式】「辺野古」県民投票の会
ブログ読者からのコメント
ブログ読者の方からコメントを頂戴しました。
県民投票にかかわる疑問が、とても分かりやすく網羅されていたのでご紹介します。
「知事選挙で民意は示されたと思っていたんですが、今度は県民投票。怖いのは県民投票の結果が踏み躙られたらどうするんでしょう? ほぼそうなると分かっていならがらの投票に何の意味があるのか・・・それとも、沖縄県民の力を示す、これ以上の行動がまだあるのでしょうか・・・ 」
まずは「知事選挙で民意が示されたのか」について、振り返ってみたいと思います。
(そのほかのご指摘については、別枠で考えていきますね)
「辺野古」県民投票の会 説明会
「辺野古」県民投票の会 副代表で弁護士の新垣勉氏は、2018年5月の説明会にてこのようにおっしゃっていました。
・辺野古県民投票は、翁長知事の訴訟を応援するためのもの。
・2014年の県知事選で「辺野古反対」を掲げて翁長知事が当選したのだから、民意は「辺野古反対」のはずだが、訴訟においては民意として尊重されていない。
・沖縄県民が、辺野古に基地を作ることに反対していると示す必要がある。
福岡高裁の判決要旨には「新施設等の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとは言えない。」(注1)と書かれています。
(注1)辺野古違法確認訴訟 判決(要旨) | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
あらためて、辺野古をめぐる裁判を振り返ってみましょう。
辺野古をめぐる訴訟の経緯
2015年10月 翁長知事「埋め立て承認取り消し」
⇒ 国土交通省が「執行停止」を決定(承認取り消しを無効化)
⇒ 工事再開
2015年11月 ① 国が翁長知事の
「埋め立て承認取り消し」の「取消し」を求めて提訴
2015年12月 ② 翁長知事「執行停止」取り消し訴訟を起こす
2016年 3月 ①②の2つの訴訟で「和解」
2016年 3月 「和解」を受けて国地方係争処理委員会が審査
⇒ 国と沖縄県の協議解決が必要だと決定
2016年 7月 ③ 国土交通省が、国に従わない翁長知事を違法として、
福岡高裁那覇支部へ訴える
2016年9月 福岡高裁那覇支部は、国の主張を一方的に認定する判決を下す。
2016年12月 最高裁、福岡高裁判決をそのまま認める判決を下す。
①②③ の3つの訴訟が入り乱れているので理解するのが大変な辺野古問題ですが、ポイントは「沖縄県が土砂投入の裁量権を持っている」ところにあります。
国の代弁者と揶揄される裁判所
福岡高裁は、普天間基地の危険除去のためには辺野古新基地建設が唯一の選択肢だと断定し、
・仲井真知事の承認は違法ではない
・ゆえに取り消した翁長知事の行為は違法
という判決をくだしました。
その3か月後、最高裁までもが、この判決を追認します。
福岡高裁の判決の問題点
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
・審理の対象をすり替えている
・裁量行為を尊重していない
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
普天間基地問題を解決するための「辺野古」と言われますが、真喜志好一氏が分厚い英文資料から見つけ出した通り、そもそも「普天間基地問題」と「辺野古新基地建設」の間には関連性がありません。
「普天間基地問題」を解決するなら、「閉鎖するだけ」という選択肢もあるはずです。
・審理の対象をすり替えている
この裁判の目的は、翁長知事の承認取り消しの「違法性」を審理するものだったのに、福岡高裁は仲井真知事の承認に違法性はないと判断しただけで、翁長知事の行為の違法性は審理しませんでした。
・通常「裁量行為」は覆せない
承認や承認取り消しなどの行政処分には「裁量行為」と「非裁量行為」があり、通常、裁判所は「裁量行為」を尊重するそうです。
翁長知事の「埋め立て承認」という行政処分は、典型的な裁量行為なので、その判断は覆せないのが常だそうです。
参考資料
翁長知事の所信表明
翁長知事は、2015年度の県政運営方針で、「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせないということを県政運営の柱にし、普天間飛行場の県外移設を求めていく」と強調なさっています。
「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」
まとめ
辺野古反対を公約として当選した翁長県知事みずから「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」と表明しておられたのです。
民意は選挙によって示されていました。
そのうえで、沖縄県知事が「裁量権」を有する「土砂投入」を取り消したのです。
沖縄県にも翁長県知事にも、何の落ち度もありません。
非があるのは、民主主義国&法治国家であるにも関わらず、翁長県知事を訴える国と国土交通相であり、沖縄県の裁量権を尊重しない裁判所です。
国や裁判所が、知事選挙で示された民意を尊重しないことが、県民が主導する県民投票が実施されることになった理由のひとつだといえるでしょう。