辺野古県民投票~県民投票は熟議の好機
今井一さんの講演会主催者は20歳の琉大生、鍵田修平さん。左側の方です。
上岡みおは、鍵田さんが「論壇」へ投稿された文章を読んで、涙が出るほど感動しました。
鍵田さんが主張されていることが、過去30年間で1000件以上の住民投票にかかわってきた、住民投票の世界的識者ブルーノ・カウフマンさんがおっしゃっていることと、同じだったからです。それはつまり、
「民主主義とは熟議すること」
幸いにも鍵田さんの許可を得られたので、「論壇」に投稿された文章をシェアさせていただきます。(見出しは上岡みおによるもの)
講演会では、今井さんのお話が素晴らしかった(抱腹絶倒のお話ばかり)のはもちろんですが、こんなふうに考える若い方に出会えたことも、とても嬉しい出来事でした。
県民投票は熟議の好機
~民主主義へ一歩踏み出そう
賛成・反対では割り切れない基地問題
私と同世代の多くが、基地問題を話すとき、意見の前置きに「基地のことよく知らないから」という言葉を使います。私は大学進学のために沖縄に移住し、2年半がたちました。
9月に行われた県知事選挙の時に、友人は「辺野古基地問題は生まれたときから今まで続いている。ずっと政治家が議論してきたのに、基地の知識もなく、沖縄戦や復帰運動も経験していない自分が基地について話せない」と口にしていました。
彼の意見は沖縄で育った同世代が持つ共通の悩みに思えます。基地に対して賛成・反対では割り切れない気持ちと向き合って考えることのつらさを感じました。
来年2月24日、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票が行われます。
私は当初県民投票には懐疑的でした。県民の複雑な気持ちに2択を迫ることは、困難であると考えたからです。
そもそも住民投票とは
そこで私は、住民投票について勉強することにしました。まず、住民投票は日本各所で1800件以上行われていたことに驚きました。
テーマはそれぞれに違うけれども地域の重要な問題は議会任せにせず、自分たちで決めたいという意識が住民投票という形になって合意形成の手段として活用されてきたのです。
その中には2択を迫られた住民投票であっても、住民が案件に関する情報を十分に得た上で、賛否を超えた議論が行われた場合、結果にかかわらず「住民投票をやってよかった」と答える人が多いことを知りました。
県民投票は熟議の好機
県民投票に協力しない、選択肢を増やした方がいいということではなく、今回の県民投票でも熟議を行うことが大切ではないでしょうか。
全国で行われてきた住民投票を取材するジャーナリスト今井一氏は著書のなかで、住民投票は「住民が政治の”観客”であることをやめ、民主政治のグラウンドに足を踏み入れることだ」と表現しています。
辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問われた私はまさに観客からグラウンドに立てるチャンスを得たのです。
熟議の伴う県民投票への一歩として、まずはこのチャンスをどう捉えるべきか考えませんか?
県民投票アレルギー
沖縄県内外の識者の中には、「県民投票」に反対する人も多いです。
沖縄の新聞紙上には、下記のような意見が飛び交っています。
・住民投票に逃げるな
・住民投票の効果は小さくリスクは大きい
・2つの住民投票は首長に裏切られた
・「多数決」は民主主義ではない
・県民投票では現状は変わらない
1996年の日米地位協定の見直しを求めた沖縄県民投票、1997年の辺野古基地建設の是非を問うた名護市民投票ともに、投票結果は踏みにじられました。住民投票をしても意味がないという意見は根強いようです。
住民投票に懐疑的にならざるを得ない理由には、
① 投票結果に拘束力がない
② 少数派の意見は無視される
ことが考えられます。
投票結果に拘束力がない
「投票結果に拘束力がない」ことについては制度改正が急務です。
欧州評議会ヴェニス委員会から出されている勧告は、「投票結果に拘束力のない住民投票は、民主主義を深めるという見地からは、理想的な方法とはいえない。」というものです。
欧州評議会は、人権、民主主義、法の支配の分野で国際社会の基準策定を主導する汎欧州の国際機関として、1949年フランスに設立された権威ある国際団体です。日本はオブザーバー国のひとつです。
現在、スイスと台湾は、投票結果に拘束力がある住民投票制度を整えています。ゆえに、この2か国は、民主主義国として評価されています。
対して、不備欠陥だらけの住民投票制度に甘んじている日本は「民主主義国」という基準においては「三流国」扱いされる事態になっています。
1996年・1997年の住民投票の結果が踏みにじられた時点で、マスコミや学識者から
「投票結果に拘束力をもたせるよう制度改正すべき」
「制度改正することが政治的課題」
という意見が出なかったことも不思議です。
主権者の立場から「投票結果に拘束力をもたせよう」という声をあげるべきときにきているのかもしれません。
少数派の意見は無視される
少数派の意見が通らないのは民主主義の欠陥のひとつです。この欠陥は、どのように是正すればよいのでしょうか。
今井さんは、このたびの辺野古県民投票に際して「公開討論の場を設けるべき」と提案なさっていました。
賛成派と反対派が一同に会して討論を繰り返すことによって、それぞれの意見の長所と短所が浮き彫りになっていくのだそうです。
公開討論を通して、当初は少数派だった意見が支持されていくようになった様子を目の当たりにしてこられた今井さんならではのご提案です。
まとめ
・住民投票は、主権者が政治に直接参加する主権行使の機会。
・地域の問題を解決するには、賛成派と反対派が公開討論をすることが必要。
・話し合いを通じて合意形成をしていくことが民主主義。
・投票結果に拘束力のある住民投票制度に改正していくことが政治課題。
1分でわかる 辺野古新基地建設 沖縄県vs国 訴訟の経緯
画像引用元:埋め立てられる“民意” 辺野古の土砂投入から1週間 反対よそに国は工事加速 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
辺野古新基地建設問題。沖縄県と国との争いについては、沖縄県外の新聞で報道されることが少ないため、沖縄県外の人には、何が起きているのかわからないことばかりです。
ポイントは「基地建設に際しては、沖縄県が埋め立ての裁量権を持っている」ところにあります。
辺野古をめぐる訴訟の経緯
2015年10月 翁長知事「仲井真前知事が埋め立てを承認したこと」を取り消し
⇒ 国土交通省が「執行停止」を決定(承認取り消しを無効化)
⇒ 工事再開
2015年11月 ① 国が翁長知事の
「埋め立て承認取り消し」の「取消し」を求めて提訴
2015年12月 ② 翁長知事「執行停止」取り消し訴訟を起こす
2016年 3月 ①②の2つの訴訟で「和解」
2016年 3月 「和解」を受けて国地方係争処理委員会が審査
⇒ 国と沖縄県の協議解決が必要だと決定
2016年 7月 ③ 国土交通省が、国に従わない翁長知事を違法として、
福岡高裁那覇支部へ訴える
2016年9月 福岡高裁那覇支部は、国の主張を一方的に認定する判決を下す。
2016年12月 最高裁、福岡高裁判決をそのまま認める判決を下す。
①②③ の3つの訴訟が入り乱れているため理解しづらいですが、ポイントは「沖縄県が埋め立ての裁量権を持っている」ところにあります。
福岡高裁の判決の問題点
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
・審理の対象をすり替えている
・裁量行為を尊重していない
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
普天間基地問題を解決するための「辺野古」と言われますが、真喜志好一氏が分厚い英文資料から見つけ出した通り、そもそも「普天間基地問題」と「辺野古新基地建設」の間には関連性がありません。
「普天間基地問題」を解決するなら、「閉鎖するだけ」という選択肢もあるはずです。
・審理の対象をすり替えている
この裁判の目的は、翁長知事の承認取り消しの「違法性」を審理するものだったのに、福岡高裁は仲井真知事の承認に違法性はないと判断しただけで、翁長知事の行為の違法性は審理しませんでした。
・通常「裁量行為」は覆せない
承認や承認取り消しなどの行政処分には「裁量行為」と「非裁量行為」があり、通常、裁判所は「裁量行為」を尊重するそうです。
翁長知事の「埋め立て承認」という行政処分は、典型的な裁量行為なので、その判断は覆せないのが常だそうです。
参考資料
この判決が異常であるのは、行政法学者から「放置できない」という意見が噴出していることからみても明らかです。
「従来の行政法理論を逸脱するだけでなく、地方自治の憲法保障をまったく軽視したもので、研究者・法律実務家の良心に照らして、これを放置することはできない」
(辺野古訴訟 福岡高裁判決を問う)
まとめ
辺野古反対を公約として当選した翁長県知事みずから「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」と表明し、沖縄県知事が「裁量権」を有する「埋め立て」を取り消したのです。
沖縄県にも翁長県知事にも、何の落ち度もありません。
非があるのは、民主主義国であるにも関わらず、翁長県知事を訴える国と国土交通相であり、法治国家であるにも関わらず、行政法学者さえも呆れるような判決文を出す福岡高裁や最高裁のほうです。
大阪・堺市の議会では、沖縄県が反対する中で埋め立てが続く現状について、「国と地方自治体の間で起きる問題を処理する上で、あしき前例になる」として「国と沖縄県との誠実な対話を求める意見書」を、2018年12月20日、自民・公明両党を除く賛成多数で可決しました。
辺野古で起きていることを放置すれば、それは「悪しき前例」となって繰り返されることが、懸念される状況となっています。
米軍基地を沖縄に置かなくてはならない理由が崩壊している件
出典:アングル:北朝鮮ミサイルが日本上空通過、その時何が起きたか | ロイター
沖縄県に米軍基地が置かれる理由
沖縄県に基地が置かれる理由について、2016年9月に福岡高裁が出した「辺野古違法確認訴訟 判決(要旨)」を確認してみましょう。
1)沖縄の地理的優位性
2)海兵隊の一体的運用について
3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について
4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策
1)沖縄の地理的優位性
・北朝鮮が保有する弾道ミサイルのうち、沖縄はノドンの射程外。
・南西諸島は、わが国の海上輸送交通路に沿う位置にあり、沖縄本島はその中央にある。
出典:アングル:北朝鮮ミサイルが日本上空通過、その時何が起きたか | ロイター
沖縄はノドンの射程外かもしれませんが、ミサイルの射程内であることが、2017年8月に北朝鮮が行ったミサイル実験によって明らかになっています。
海上交通という点ですが、そもそも日本は島国です。沖縄以外にも海上交通の利がある場所は山のようにあります。
2)海兵隊の一体的運用について
翁長知事は、沖縄は米軍主力基地の佐世保から遠いことを指摘されていました。佐世保から空母到着するには時間がかかるので、沖縄に地理的優位性はないと。
これを、福岡高裁は、「海上阻止行動、対テロ作戦や安定化作戦、平時における人道支援·災害救助、敵地における偵察・監視、人質の奪還等の特殊作戦や危機発生時の民間人救出活動も任務としている。」と退けました。
海上阻止行動
尖閣諸島情勢に関するQ&A | 外務省にはこう書かれています。
米国は,日米安全保障条約第5条の適用に関し,尖閣諸島は1972年の沖縄返還の一環として返還されて以降,日本国政府の施政の下にあり,日米安全保障条約は尖閣諸島にも適用されるとの見解を明確にしています。
そのわりに、在沖縄米軍は、海上阻止行動はしてくれないみたいです・・・
対テロ作戦や安定化作戦
地下鉄サリン事件というテロがあったとき、在沖縄米軍が解決に尽力したという話はききません。
平時における人道支援·災害救助
2011年東日本大震災では「偶然」福島沖にいた空母「ロナルド・レーガン」がトモダチ作戦を展開してくれましたが、沖縄に基地があることとは無関係です。
その後、トモダチ作戦に従事した空母「ロナルド・レーガン」の乗組員8名が、福島第一原子力発電所事故に関する正確な情報を得られずに被曝したとして、東京電力に総額1億1000万ドル(約94億円)の損害賠償などを求める訴訟を米連邦地裁に起こしています。
東京電力ではなく、出動命令を出したアメリカ海軍を訴えるべき話のような気もします。笑えるのは、トモダチ作戦にかかった費用は、後で日本に請求されたことです。アメリカ軍に助けてもらうと本当に高くつきます。
その後の災害時に、在日米軍が物資を運んでくれた実績はあるものの、本島から遠い沖縄に地の利はありません。
人質の奪還等の特殊作戦
人質奪還って・・・。政府が認定している拉致被害者を、在沖縄米軍が救出してはくれませんよね?
出典:【拉致から40年 救出への道筋】酷暑の中で地道な努力続ける家族たち 「拉致問題の『解決』を決めるのは家族」(1/5ページ) - 産経ニュース
3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について
福岡高裁は、
「1996年に日米間でされた普天間飛行場の返還合意は、ヘリポート建設が前提とされている」としつつも
「海兵隊全体が沖縄に駐留する必要がなくなれば辺野古基地もキャンプ・シュワブも必要がなくなり、返還されることになるはずだ。」
と明言しています。
1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、辺野古は建設中であっても、返還すればいいだけの話です。
民意を無視するのは憲法違反です。
4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策
1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、普天間飛行場周辺の騒音被害や危険性を除去するためには、閉鎖すればいいだけの話です。
米軍基地を沖縄に置かなくてはならない理由は崩壊している
1)沖縄の地理的優位性 ⇒ 無し
・仮想敵国・北朝鮮からのミサイルの射程内にある
・主力基地の長崎・佐世保から遠い
2)海兵隊の一体的運用について ⇒ 福岡高裁の妄言
在沖縄米軍は
「海上阻止行動」
「対テロ作戦や安定化作戦」
「平時における人道支援·災害救助」
「人質の奪還等の特殊作戦や危機発生時の民間人救出活動」
のどれも行っていない。
3)普天間飛行場の返還と辺野古新基地建設との関係について
1)2)を考え合わせると米軍基地が沖縄に置かれる理由はなく、福岡高裁みずから「海兵隊全体が沖縄に駐留する必要がなくなれば辺野古基地もキャンプ・シュワブも必要がなくなり、返還されることになる」と明言している。
4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策
幼稚園や学校、住宅街の真上を戦闘機が飛び交う普天間基地は世界一危険といわれており、早急に閉鎖する必要があるが、1)2)3)を考え合わせると、沖縄県に米軍基地がおかれる必然性はない。
2016年に福岡高裁&最高裁が示した「米軍基地を沖縄に置かなくてはならない理由」は崩壊しています。
日米安保条約の賛成率の高い県が基地を負担すべき 今井一さんのご意見③
2018年12月12日、琉球大学で開催された今井一さんの講演会。
安保条約が関わってくる県民投票について、今井さんのお考えをうかがったところ、痛快極まりないお話が展開されていきました。
安保条約賛成派は8割
安保条約や基地問題に関することは、沖縄県だけで具現化するのはムリです。東京、大阪、全国の人を巻き込んでいくしかないです。
今、8割の人が安保条約賛成派です。国民投票やったら、8対2で可決されて終わりです。
日米安保条約の賛成率の高い県が基地を負担すべき
国民投票のルールを決めておいて、都道府県ごとに開票して、日米安保条約の賛成率が高い順に基地を受け持つとかね。
そうしないと、「日米安保賛成。基地は沖縄ね。」じゃ、何の葛藤もない。
でも、賛成率が高いところが基地受け持つとなったら、相当考えるよね。
国民投票は、法律を制定すればできる!
そういう国民投票、実はやろうと思ったらやれるんです。
今、憲法改正国民投票しかないから、それしかできないと思ってるけど、違うんです。
どんな国民投票でも、国民投票法を制定したら、諮問型だけでもできるんです。
例えば国会が、賛成率が高いところが基地を受け持つというルールの「2020年日米安保国民投票法」を、過半数の賛成で制定すれば、できます。
岩波『住民投票』著者、今井一さんのご意見は、目からウロコのお話ばかり。
住民投票を知り尽くしている、今井さんのご意見は貴重です。
日米安保条約の賛成率が高い県が基地を受け持つというルールの国民投票、おおいに支持したいと思います!
岩波『住民投票』著者 今井一さんにきく 沖縄は基地負担すべき?
2018年12月12日、琉球大学で開催された今井一さんの講演会。
安保条約が関わってくる県民投票について、今井さんのお考えをうかがったところ、またまた痛快極まりないお話が展開されていきました。
安保条約と県民&国民投票
安保条約がかかわってくる県民投票についての、今井一さんのご意見。
安保条約や基地問題に関することは、沖縄県だけで具現化するのはムリです。東京、大阪、全国の人を巻き込んでいくしかないです。
今、8割の人が安保条約賛成派です。国民投票やったら、8対2で可決されて終わりです。
ただし、ルールを決めておいて、都道府県ごとに開票して、日米安保条約の賛成率が高い順に基地を受け持つとかね。
そうしないと、「日米安保賛成だよ。でも基地は沖縄ね。」じゃ、何の葛藤もない。
でも、賛成率が高いところが基地受け持つとなったら、相当考えるよね。
そういう国民投票、実はやろうと思ったらやれるんです。
今、憲法改正国民投票しかないから、それしかできないと思ってるけど、違うんです。
どんな国民投票でも、国民投票法を制定したら、諮問型だけでもできるんです。
例えば国会が、賛成率が高いところが基地を受け持つというルールの「2020年日米安保国民投票法」を、過半数の賛成で制定すれば、できます。
沖縄県に基地が置かれる理由
沖縄県に基地が置かれる理由について、2016年9月に福岡高裁が出した「辺野古違法確認訴訟 判決(要旨)」を確認してみましょう。
1)沖縄の地理的優位性
2)海兵隊の一体的運用について
3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について
4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策
1)沖縄の地理的優位性
・北朝鮮が保有する弾道ミサイルのうち、沖縄はノドンの射程外。
・南西諸島は、わが国の海上輸送交通路に沿う位置にあり、沖縄本島はその中央にある。
出典:アングル:北朝鮮ミサイルが日本上空通過、その時何が起きたか | ロイター
沖縄はノドンの射程外かもしれませんが、ミサイルの射程内であることが、2017年8月に北朝鮮が行ったミサイル実験によって明らかになっています。
海上交通という点ですが、そもそも日本は島国です。沖縄以外にも海上交通の利がある場所は山のようにあります。
2)海兵隊の一体的運用について
翁長知事は、沖縄は米軍主力基地の佐世保から遠いことを指摘されていました。佐世保から空母到着するには時間がかかるので、沖縄に地理的優位性はないと。
これを、福岡高裁は、「海上阻止行動、対テロ作戦や安定化作戦、平時における人道支援·災害救助、敵地における偵察・監視、人質の奪還等の特殊作戦や危機発生時の民間人救出活動も任務としている。」と退けました。
>>>海上阻止行動
尖閣諸島情勢に関するQ&A | 外務省にはこう書かれています。
米国は,日米安全保障条約第5条の適用に関し,尖閣諸島は1972年の沖縄返還の一環として返還されて以降,日本国政府の施政の下にあり,日米安全保障条約は尖閣諸島にも適用されるとの見解を明確にしています。
そのわりに、在沖縄米軍は、海上阻止行動はしてくれないみたいです・・・
>>>平時における人道支援·災害救助
2011年東日本大震災では「偶然」福島沖にいた空母「ロナルド・レーガン」がトモダチ作戦を展開してくれましたが、沖縄に基地があることとは無関係です。
その後、トモダチ作戦に従事した空母「ロナルド・レーガン」の乗組員8名が、福島第一原子力発電所事故に関する正確な情報を得られずに被曝したとして、東京電力に総額1億1000万ドル(約94億円)の損害賠償などを求める訴訟を米連邦地裁に起こしています。
東京電力ではなく、出動命令を出したアメリカ海軍を訴えるべき話のような気もします。笑えるのは、トモダチ作戦にかかった費用は、後で日本に請求されたことです。アメリカ軍に助けてもらうと本当に高くつきます。
その後の災害時に、在日米軍が物資を運んでくれた実績はあるものの、本島から遠い沖縄に地の利はありません。
>>>人質の奪還等の特殊作戦
人質奪還って・・・。政府が認定している拉致被害者を、在沖縄米軍が救出してはくれませんよね?
出典:【拉致から40年 救出への道筋】酷暑の中で地道な努力続ける家族たち 「拉致問題の『解決』を決めるのは家族」(1/5ページ) - 産経ニュース
3)普天間飛行場の返還と本件新施設等との関係について
福岡高裁は、
「1996年に日米間でされた普天間飛行場の返還合意は、ヘリポート建設が前提とされている」としつつも
「海兵隊全体が沖縄に駐留する必要がなくなれば辺野古基地もキャンプ・シュワブも必要がなくなり、返還されることになるはずだ。」
と明言しています。
1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、辺野古は建設中であっても、返還すればいいだけの話です。
民意を無視するのは憲法違反です。
4)普天間飛行場による騒音被害や危険性の原因と対策
1)と2)を考え合わせると、米軍基地が沖縄にある必要性はないのですから、普天間飛行場周辺の騒音被害や危険性を除去するためには、閉鎖すればいいだけの話です。
安保条約を支持する人が応分負担する
行政法学者の方たちも、福岡高裁の判決文を
「従来の行政法理論を逸脱するだけでなく、地方自治の憲法保障をまったく軽視したもので、研究者・法律実務家の良心に照らして、これを放置することはできない」
と表明しています。
(辺野古訴訟 福岡高裁判決を問う)
沖縄県が過分な基地負担を強いられる必要がないのは明らかです。
今井さんの「安全保障条約支持と応分負担をセットにした国民投票をすべき」というと提案を、おおいに支持したいと思います。
辺野古新基地建設問題 知事選挙で民意は示されたのか?
画像引用元:【公式】「辺野古」県民投票の会
ブログ読者からのコメント
ブログ読者の方からコメントを頂戴しました。
県民投票にかかわる疑問が、とても分かりやすく網羅されていたのでご紹介します。
「知事選挙で民意は示されたと思っていたんですが、今度は県民投票。怖いのは県民投票の結果が踏み躙られたらどうするんでしょう? ほぼそうなると分かっていならがらの投票に何の意味があるのか・・・それとも、沖縄県民の力を示す、これ以上の行動がまだあるのでしょうか・・・ 」
まずは「知事選挙で民意が示されたのか」について、振り返ってみたいと思います。
(そのほかのご指摘については、別枠で考えていきますね)
「辺野古」県民投票の会 説明会
「辺野古」県民投票の会 副代表で弁護士の新垣勉氏は、2018年5月の説明会にてこのようにおっしゃっていました。
・辺野古県民投票は、翁長知事の訴訟を応援するためのもの。
・2014年の県知事選で「辺野古反対」を掲げて翁長知事が当選したのだから、民意は「辺野古反対」のはずだが、訴訟においては民意として尊重されていない。
・沖縄県民が、辺野古に基地を作ることに反対していると示す必要がある。
福岡高裁の判決要旨には「新施設等の建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとは言えない。」(注1)と書かれています。
(注1)辺野古違法確認訴訟 判決(要旨) | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
あらためて、辺野古をめぐる裁判を振り返ってみましょう。
辺野古をめぐる訴訟の経緯
2015年10月 翁長知事「埋め立て承認取り消し」
⇒ 国土交通省が「執行停止」を決定(承認取り消しを無効化)
⇒ 工事再開
2015年11月 ① 国が翁長知事の
「埋め立て承認取り消し」の「取消し」を求めて提訴
2015年12月 ② 翁長知事「執行停止」取り消し訴訟を起こす
2016年 3月 ①②の2つの訴訟で「和解」
2016年 3月 「和解」を受けて国地方係争処理委員会が審査
⇒ 国と沖縄県の協議解決が必要だと決定
2016年 7月 ③ 国土交通省が、国に従わない翁長知事を違法として、
福岡高裁那覇支部へ訴える
2016年9月 福岡高裁那覇支部は、国の主張を一方的に認定する判決を下す。
2016年12月 最高裁、福岡高裁判決をそのまま認める判決を下す。
①②③ の3つの訴訟が入り乱れているので理解するのが大変な辺野古問題ですが、ポイントは「沖縄県が土砂投入の裁量権を持っている」ところにあります。
国の代弁者と揶揄される裁判所
福岡高裁は、普天間基地の危険除去のためには辺野古新基地建設が唯一の選択肢だと断定し、
・仲井真知事の承認は違法ではない
・ゆえに取り消した翁長知事の行為は違法
という判決をくだしました。
その3か月後、最高裁までもが、この判決を追認します。
福岡高裁の判決の問題点
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
・審理の対象をすり替えている
・裁量行為を尊重していない
・辺野古移転を唯一の選択肢としている
普天間基地問題を解決するための「辺野古」と言われますが、真喜志好一氏が分厚い英文資料から見つけ出した通り、そもそも「普天間基地問題」と「辺野古新基地建設」の間には関連性がありません。
「普天間基地問題」を解決するなら、「閉鎖するだけ」という選択肢もあるはずです。
・審理の対象をすり替えている
この裁判の目的は、翁長知事の承認取り消しの「違法性」を審理するものだったのに、福岡高裁は仲井真知事の承認に違法性はないと判断しただけで、翁長知事の行為の違法性は審理しませんでした。
・通常「裁量行為」は覆せない
承認や承認取り消しなどの行政処分には「裁量行為」と「非裁量行為」があり、通常、裁判所は「裁量行為」を尊重するそうです。
翁長知事の「埋め立て承認」という行政処分は、典型的な裁量行為なので、その判断は覆せないのが常だそうです。
参考資料
翁長知事の所信表明
翁長知事は、2015年度の県政運営方針で、「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせないということを県政運営の柱にし、普天間飛行場の県外移設を求めていく」と強調なさっています。
「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」
まとめ
辺野古反対を公約として当選した翁長県知事みずから「県民の付託を受けた知事として、辺野古に新基地は造らせない」と表明しておられたのです。
民意は選挙によって示されていました。
そのうえで、沖縄県知事が「裁量権」を有する「土砂投入」を取り消したのです。
沖縄県にも翁長県知事にも、何の落ち度もありません。
非があるのは、民主主義国&法治国家であるにも関わらず、翁長県知事を訴える国と国土交通相であり、沖縄県の裁量権を尊重しない裁判所です。
国や裁判所が、知事選挙で示された民意を尊重しないことが、県民が主導する県民投票が実施されることになった理由のひとつだといえるでしょう。